EnterpriseTestForum2012に参加しました

 前日にたまたまTwitterで見かけて、直感的に参加を決めて申し込みました。
(当日のプログラムも載ってるサイトは http://bit.ly/LpmjED

 当日は生憎の雨がパラつく天気にも関わらず、会場には300名を超える人が
参加されてました。普段良く行くイベントとは若干客層が違って、
平均年齢層が30台位でチト高めでした。女性も2〜3割位いて、
スーツ率も6〜7割位だったかな?
(前方ブロックど真ん中に座る事になったんで、後ろの様子を
休み時間にぐるっと周りを見渡した感じですが)

 さて、以下各セッション中にメモった感想を踏まえて
記憶が薄れないうちに書き留めておきます。

(※)あくまで個人の感想ですので、独断・偏見の上に
   記述されています。決して個人を誹謗中傷する意図は
   ありませんので、もし不快に感じられた方がいらっしゃったら
   謝ります。ゴメンナサイ。

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●13:00〜13:40 (鈴木氏)
【基調講演】
国内線予約WEBシステム「ANA SKY WEB」開発の舞台裏
〜過酷なテストをこう乗り切った〜

【総評】
 個人的には「う〜ん」という感じ。ANAにおける
 システムの概要説明や宣伝はあったけど、
 肝心の「Test」についての掘り下げが甘かった気がする。
 また、舞台「裏」の割に、あまり「裏」については
 語られていなかったと思う。素人相手ならともかく、
 恐らく会場には(システムについて)僕以上にプロの人達が
 来てただろうから、そういう人達はどう思っていたんだろう?

【メモ】
 ・新型機のB787って、いい機体なんだろうなー
  (TestForumなんだけど、ね)
 ・対象のシステムはインターネットの予約・販売システム(2010年に4,000億の売上、
  一日当たり40万人が利用)
 ・システムのキモはボトルネックになっていたバックエンド(ホスト)への
  問い合わせ部分をOracleのデータグリッドを利用して
  いわば「キャッシュ層」的なものを設けた所にあるらしい。
 ・BTSにAtlassianのJIRAを使ってた。
 ・その他、単体テストにはParasoftのJtest、
  機能・システムテストにHPのPerformance Center、LoadRunner、
  CAのWily Introscope、JRockit Mission Control、
  GrapeCityのJProbe 等の有償ソフトでがっちり固めた感じ。
  さすがお金持ってるなー
  ⇒ ただ、ケチをつけるわけでは無いけど、無償でも結構
    優良なツールは沢山あるのに、何故有償のツールで
    固めたのかについては一切触れられてなかったのは、残念。
    SIerからの提案鵜呑みにしてただけなんじゃね?と
    邪推してしまうのは僕がヒネくれてるからなんだろう、多分。
 ・システムテストの初期から、昼夜2交代制による24時間のテスト実施。
  ⇒ 終盤になって慌てて24時間制にしたわけでなく、始めから
    そういう計画で臨んでいた(スケジュールも厳しかったので)、
    というトコは評価が分かれるところだと思う。
    そもそもそんな計画立てた時点で負けじゃね?という
    考え方もあるだろうし、いやいや、事前に手を打ってたんだから
    ある意味仕方ないでしょう、という考え方もあるかな、と。
 
●13:50〜14:30 (長沢氏)
プロアクティブな品質を駆動する開発環境とは

【総評】
 個人的には一番のお目当てのセッション。
 期待通り「流石」という内容でした。
 途中からAgileがメインで肝心のツールの宣伝の方が
 ステマっぽくなってしまって、「あれ?今日は
 ツールの宣伝に来たのではないの?」とコッチが
 心配になる位でしたが、最後の方はデモも交えつつ
 上手く宣伝されてました。思わずVisualStudio買いそうになってもた(笑)
 (うん、長沢さんなら「幸せになれる壷」売れるね(^^))
 
【メモ】
 (セッションで使用された資料は後で公開される、という事だったので
  興味ある人は @tomohn さんのツイッターアカウントを要チェック。
  以下は、配布された資料中のメモを踏まえて記述)

 ・(ビジネスにとって、ITが「あれば便利だね」程度の存在だった90年代位の)
   昔はソフトの内部品質(※)だけを気にしていれば良かったが、
  (ビジネスにとって、ITが必要不可欠な存在になった)
   現代では、「ビジネスの品質」(※2)についてまで考えないとダメになった。

  (※1)恐らく、「システムにバグが無い」といった事だと思われ。
  (※2)ITが提供しているビジネス(=ガチャとか(^^)、ECとか)の事だと思われ。
 
 ・(ビジネスの変化が少ないもしく緩やかだった)
  昔は全体計画を立て易く、上流・下流が分かりやすかった。
  いわゆる「ホールケーキのモデル」での提供ができた。
  ⇒ 翻って(ビジネス・市場の変化が激しい)現在では
    スモールバッチでの提供(継続的デリバリー)が必要になった。
 ・アジャイルでは「ストーリー毎での提供」を旨としている
  (=「バーティカルスライシング」の技術が重要)
  ⇒ そうする事で(直接的な利害関係を特定しやすくなるため)
    エンドユーザも巻き込みやすい。
 
 ・以上を踏まえて、VisualStudioのツール宣伝。
  ⇒ 確かに、無償ツールで同じ事をしようとするとリポジトリがバラバラ
    (=ソースはSVN、ビルドはJenkins、等々)になるが、
    VisualStudioならリポジトリを統合できて、
    管理者、実装者等のそれぞれの役割から、それに適した形で
    情報を取得・分析できるってのは魅力的。
    (普段ならヒネくれて、懐疑的な自分が)
    思わず買いそうになってしまった(笑)

●14:40〜15:20 (細川氏
コスト削減と品質向上のバランスを重視した、
IBMのテスト管理戦略と未来の品質開発基盤

【総評】
 このセッションも面白かった。正直IBMさんだったので
 もっと固めのイメージだったけど、「エンターテイナー」という印象。
 長沢さんのセッションが面白かっただけに、やりにくいだろうなーと
 思ってたけど、また違うタイプの面白さで場内を引っ張っていかれた感じ。
 
【メモ】
 ・「ビッグバンテスト」の再来について
  ⇒ 昔懐かしい「ビッグバンテスト」が最近になって復活してきましたね、
    という説明。
    「試験性」について書かれている論文もあるけど、(システムも複雑に
    なってきてる現在)そんな事をまともにできるレベルだったら、
    そもそもバグなんか作りこまないんじゃね?というお話。
 ・「パーラーマジック」のテクニック(※3)を利用して
  会場から観客を一人舞台に上げて、仕様、実装、テスト等について説明。
 
 (※3)参考:「マジックの分類」http://bit.ly/K9aNRw

 ・IBMでは(一般的に行なわれている多段発注方式のV字モデルの開発を)
  「点線V字モデル」と呼んでいる。
 ・また、近年では「洗面器モデル」みたいになっていませんか?
 ・テストでは「打鍵作業」が一番コストがかかるけど、そこを
  「テストスクリプト作成」に置き換えることで、同じコストをかけたとしても
  後々まで利用できるテストが手に入る。


●15:30〜16:10 (山岡氏)
ソフトウエアテストにおける課題を克服する「テスト戦略」の組み立て方

【総評】
 本人が自らを評して「テレビの実演販売」と仰っていたが、確かに
 それ位の勢いと熱さがあったな、と。個人的には嫌いでは無いので、楽しむ事ができた。
 ただ、時間配分が甘くて、途中バンバン資料説明を飛ばしていったのはちょっと残念。
 ただ、今回のセミナーの主旨(テストツールの宣伝)には
 合ってた内容だったと思う。
 
【メモ】
 (あんまりメモしてなかったので、パス)

●16:20〜17:00 (森重氏)
テストツール、知られざる便利機能
〜計画と設計の負担は軽減できる〜

【総評】
 自分が言うのも何だけど、どうもロジックの繋がりが悪く
 観点にも偏りが見られた気がして、腑に落ちなかった点があった。
 確かに言いたい事は分かるし、個人的には大勢において賛成なんだけど
 その流れでは人を納得させられんやろ、という点が幾つか。

【メモ】
 ・内容は以前日経SYSTEMSで特集を行なった時の記事の内容から。
  ⇒ 2012'3月の特集記事とか。