【SEC特別セミナー】 アジャイル開発の人材 に参加してきました

 天気はイイものの、エラく風が強い月曜の昼間、
品川で開催されたIPA主催のセミナーに参加してきました。

 今回のセミナーは4本立てでしたが、目玉はScrum Alliance の
ボードメンバーでもある Mr.Stephen Forte の講演でした。
後、個人的に興味深かったのは天野さんの講演でした。

 当日のアジェンダはこちら

「【SEC特別セミナー】 アジャイル開発の人材
アジャイル開発の技術者人材像・認定制度と大学・企業での取組みについて〜」
 http://bit.ly/ZbhfKq

 当日の内容をツダったモノはこちら

「2013-03-18 【SEC特別セミナー】 アジャイル開発の人材 のまとめ
 http://bit.ly/15YbyWH

 セミナーの内容・雰囲気については上のツダりを眺めて戴くとして
以下、各講演内容についてツラツラと書いていこうと思います。

 ⇒ セミナー開始前にIPAの司会進行の方が、「後日講演者の許可が下りたものは
   動画公開します」と仰っていたので、Stephen 氏の講演も公開されるかも、です。

 あ、そうそう、その前に、、、
どうも上のツダりの一部が凄い人に漏れた(?)らしく
それを自分のTL上で見かけて「ドキッ」としたので、
念のため、その内容を確認してみました。

 そのツダりは
「10年以上も前、休暇でスキーに行った人達の中で、「ビジネスに対しての価値」について話し始めました。
で、結論としてWFでは時間がかかりすぎ、ルールに縛られすぎるということになりました」

 というヤツだったんですが、やっぱり、、、ビミョーに歪んでますね(汗)

 「11年ほど前、WFに対抗していこうと考えた人達がアメリカのスキーリゾートに集まりました。
  スキーという事で、また休暇という事だったので、リラックスしながら
  ビジネスの価値につながるような新しいソフトウェアの開発手法について話し始めました。

  そして、彼らの議論の中での結論というのが、やはりWFのアプローチを取っていては
  時間がかかりすぎる〜あまりにもルールでがんじがらめになってしまい
  計画通りにやろうとするために、時間がかかりすぎる〜と言う事になりました。

  WFにとっての価値というのはソフトウェアを使う人達にとっての価値ではなく
  ソフトウェアを開発するためのプロジェクトにとっての価値にしかならないということです。

  そこで暖炉の火を囲んで彼らは話し合い、その結果生まれたのがいわゆる
  「Agile Manifesto」なのです」

 ⇒ テープ起こししたんで、殆どあってると思いますが、、、
   ツダりの中から、肝心な「価値」についての話がスポッと抜けてますね(反省)

 さて、(上のような若干残念なツダりではありますが)講演内容については
そっちを参照して頂くとして、ツダれなかったセミナー最後の会場との
質疑応答について書いておきたいと思います。

 1.資料のP.20 に関して、イギリスとブラジルの(Scrum資格取得者の)
   割合が多いようですが、何か背景があるのでしょうか?

   ⇒ 実は色々な国の平均値がそれらの国と近かったからです(3%位が平均らしい)。
     市場規模が大きかったので、代表例として持って来ました。
     後、例としてアメリカと中国を持ってきたのは、私がアメリカ出身で
     現在香港に住んでいるからです。

 2.コミュニケーションが大切だと言う話がありましたが、
   (オフショアの時の)時差とかの問題にはどんなものがあるでしょうか?

   ⇒ まずアメリカとブラジル間には言語の問題があり、あまりオフショアは行われていません。
     (ブラジルはポルトガル語なので)
     アメリカからオフショアが多いのはインドです(英語を話せる人の割合が高いので)。
     Scrumの認定数も高いものになっています。

 3.P.8 に60%の所で「STOP」という標識があるが、(開発を途中でストップさせるために)
   お客さんとうまく合意できる方法を知りたい。

   ⇒ これは60%で開発を終わらせる、という事を意味していません。
     予算が無くなってしまったり、その他の何らかの理由で開発を途中で
     止めざるを得なかった場合を表現しています。

     また、事前に計画していたイテレーションが、開発途中で
     実は必要ないことに気づいた、という場合もあります。

     ただ上記いずれの場合も、そこまでに完成していた箇所(システム)は
     ビジネス的な価値を提供できている、という事を表現したかったのです。
     WFの場合、途中で開発が終わってしまうとビジネス的な価値は0になってしまいます。
 
 4.WFの場合はレイヤー毎に切って、アジャイルの場合は縦切りでフィーチャー毎に開発していきますが
   アジャイルにおいてもデータモデルとか下の方のレイヤーの変更が後の方で起こると
   ヒドイ目に遭うことが多いと思いますが、その辺りをうまく回避する方法はありますか?

   ⇒ 確かに後の方のスプリントで(DBとかの)変更が無いという事は保証できません。
     ただ、アジャイルの場合、「モジュール毎に」設計(・開発)をしますので
     チームが一旦このフローに慣れてしまえば、そういった問題に関しては
     WFで直面する問題よりもひどい事にはならないと思います。

     WFでありがちなのは、全く使わないフィーチャーまで、設計・開発してしまうということです。
     そうすると、データモデル・オブジェクトモデルなどが複雑化してしまいがちです。
     アジャイルの場合、シンプルなモデルなので、修正に関してもそれほど複雑にはなりません。
     ただ、(質問にあったような)後に発生する修正を回避する、という事についての処方箋はありませんが。

 5.アジャイルはチームで仕事をすると思いますが、人の評価というのはどうやっていますか?
   個人別でしょうか?チーム別でしょうか?(チーム単位でやる場合、どのようにしていますか?)

   ⇒ AgileやScrumにおいて、評価のガイダンスというものはありません。
     私達の会社では人事考課は個人レベルで行います。ただ、その評価の重要な部分として
     「チーム(の一員)として」どのように機能したのかという点があります。

     私のチームにとある有能なプログラマ、恐らくそのチームでは一番のプログラマがいました。
     ただ、彼の評価は平均的なものでした。
     彼が私のところにやってきて理由を尋ねたので、私はこう答えました
     「君は確かにプログラマとしてはA+だ。ただ、チームプレイヤーとしてはD-だ。
      だから君の評価は平均的なものになったのだ」

 6.アジャイルは「システム開発手法」なのか、それとも「プロジェクトマネジメント手法」なのか?あるいは両方なのか?

   ⇒ 正解としては「両方」になります。ただ、今日のプレゼンに関しては、プロジェクトとしての
     方法論についてフォーカスして話を進めてきました。システムエンジニアリングについては
     もし、関心があれば、CI、TDD、XP等を付加彫りして頂ければと思います。

  以上、Stephen氏の講演終了、と。


    ×    ×    ×

 以下、ちょろちょろと私見を。

 客層を意識されたのか、今回のStephen氏のお話はベーシック(というか入門編)でした。

 ⇒ そうそう、お客さんの7〜8割はスーツで、年齢もかなり高めでした。
   IPA主催 かつ 平日昼間ってー事で、、、いつも自分が参加させてもらってる
   勉強会とは違った雰囲気でしたね〜(そういや以前参加したIPA主催の
   セミナーもそんな感じだったなー)

 正直なところ、自分としては「知っている」話が多かったのですが、同じ古典落語のネタでも
駆け出しの落語家がやるのと大御所がやるのとでは違うように、「厚み」というか「深み」が
あったように思いました。

 最後の質疑応答の時間ですが、初めは(自分も含めて)全然会場から手が
上がらず、Stephen氏も少々困っていましたが、勇気を持って手を挙げられた方が一人出ると
その後は結構手が挙がって、時間一杯まで質疑応答して頂くことになりました。

 ⇒ 自分もちょっと遠慮していたんですが、「このままでは日本の
   Agileに対してのレベルが疑われる!」なんてワケの分からん
   使命感に駆られ、2つほど質問させてもらいました
   (なんて事を言うと「オマエがいつ日本のAgile背負って立つ事になったんだ!」
   とマサカリでハリネズミになりそうですな(汗)
   まぁ、折角の機会なんだから「このままでは勿体無いなー」という部分のが
   大きいんですが(^^;;)

    ×    ×    ×

 後、3本あるんですが、、、パラパラと思いつくままにコメントだけすることにします(汗)
(チト今週は忙しくなってしまって、このまんまではいつまでたっても書き終わらないので。。。)

 「アジャイル検定試験について」

 こちら、正直個人的には色々と思うところがあります。正直これだけで1本分のネタになる位。
ただ、時間も無いので、少しだけ。

 「アジャイルが世の中に広まってきたのは良いけど、それに伴って誤解も広がった部分もある。
  それを正し、本当のアジャイルを広めるために試験を制定する事にした」

 ⇒ 正直、これだけでも色々と「?」が出てきますが。。。因みに準備委員会の中でも
   色々と議論があったそうです。オージス総研さんのサイトにそれが公開されている、と
   長瀬さんはおっしゃっていたんですが、ちょっと自分には見つけられませんでした。

   一度拝見したいものなんですが、、、どこにあるんだろ?

 後、終了前の会場からの質疑応答で印象に残った質問を。

 「準備委員会の中に、アジャイルに対して(プロジェクトの進め方や会社をアジャイルにやって行きたいという)
  「想い」を持った人が参加しているのか?」
 という質問でした。回答としては「それぞれの企業様の中でアジャイルを実践されている方々が
 それぞれの経験を持ち寄って議論している」という事でした。

 ⇒ うーん、今、改めて講演内容を聞き返してみたんですが、正直なところ僕レベルの
   (いわゆるアジャイルについてちょっと勉強した事がある程度のレベルで)
   ツッコミどころが色々と。。。
 
 イチイチ書いていたら、また睡眠時間が削られてしまうので一言だけ。

 数年後に
 「僕アジャイル検定の資格持ってます!プロダクトコード書く前に
  テストコード書くのがTDDなんですよね!その上でCI回すんですよね!」
 「お、良く知ってるね!じゃ、このクラスのテスト書いて!」
 「テストコードってどうやって書くんですか?」
 「・・・」
 というやり取りが色々な現場でされなければ良いな、と思っています。

    ×    ×    ×

 「早稲田大学におけるワークショップによるアジャイルマインド習得と開発実習」

 学生のうちからアジャイルに触れられるのはいいですね〜。
ただ、なぜ(一般的に普及している)ScrumとかXPとかではなく、
IBMさんの方で提唱されている「DAD(Disciplined Agile Delivery)」という手法やら
ツールやらを題材としたんですかね?

 ⇒ いや、大体予想はついているんですが、敢えて言ってるんですけど、、、

   実際、講演の中で講演者の鷲崎さん自身が仰っていた通り
   「学生へ聞いたところ、プロセスをこなしたり、ツールの使い方をマスターするだけで
    結構一杯一杯で、Agile開発が身につけられたかとか、Agileとはなんぞや
    という事が腹落ちできていたかとというと疑問である」と。

    ×    ×    ×

 「企業におけるアジャイル人材育成の取り組み」

 はい、トリは永和システムマネジメントの天野さんのお話でした。
個人的には、ちょっとモヤモヤする内容が続いていたのですが、
溜飲が下がる(?)ような面白い内容でした(^^;;

    ×    ×    ×


 その他雑感を少々。

 ITコーディネータのポイント認定があったせいか(?)、(興味も無いのに
ポイントのために参加したのか)居眠りしてる人もチラホラいたようです。
っつーか、隣で寝てるヒト居たし。。。

 「こんな事既に知ってるよ!退屈だ!」というのであれば、まだ
わからなくは無いんですが、、、じゃ、最後の質疑応答の時にハイレベルな
質問をぶつけりゃイイのにと思ったり。

 ⇒ 海外のセミナーとかでは、内容がイケてなかったら、
   観客が途中で平気で席を立つ、という事もあると聞いた事があります。
   まだその方が講演者に対してフィードバックがあるので
   いいんじゃないかと思います。
   居眠りってのは、、、学生じゃないんだから、そもそも香港から
   わざわざ来てくれている氏に対する礼を欠いていると思いますけどねー。

 後、「IPAの人にハッシュタグ付けるように言っといて」と某鬼コーチからメンション飛んできたんで
アンケート用紙にその旨記載しておきました。

 ⇒ スタッフの人捕まえて直接言おうかと思ったんですが、、、終了後アンケートを書くのに
   時間がかかって、書き終わってから見回したら、どう見てもハッシュタグはおろか
   「ついったー?」って聞き返されそうな方しか残ってなかったんで、、、直接は言えませんでした(スンマセン)

 うーん、Stephen氏の部分はともかく、その他は書きたいことの半分も書けていないなぁ。。。

 もう少したって仕事が落ち着いたら、続編もしくは追記とかするかも。